女装フラダンサーへのチャレンジ―その06・自主練で決意を新たに

女装エッセイ

みなさま、こんにちは。女装家・なかたにりえ と申します。いつもブログを訪問くださり、ありがとうございます。

女性の姿でフラダンスを舞う夢の、実現に向けたチャレンジ。
フライベントの見学で感化され、自主練を取り入れました。新たな気持ちで夢に向かい、その成長を感じて喜ばしく思った気持ちを綴ってみました。

※この連載は私の実体験に基づくエッセイです。投稿内容は個人的な感想であり、登場する団体・人物は一部表現を調整しています。

もっと上手になりたい

前回 お話したイベントを見学して以来、気持ちは高ぶる一方でありました。
頭の中では、あの日の舞台の光景が何度もリピートされます。

そして、心の奥で小さな声がささやくのです。
「もっと上手くなりたい。女性として踊るその日のために──」

そこで、私は決意しました。
レッスンの時間だけでは足りない、空いた時間でできる自主練メニューを作ろう、と。


自主練メニューを考える

格好の自主練時間は、レッスンが始まる前。地元の公民館をお借りしているのですが、少し早い時間に一人でやってくるのです。
これで大きな鏡を独占できる、絶好の環境が得られます。

まずは基本のステップ「カホロ」。鏡の前で姿勢を確認しながら、足運びがスムーズになるまで繰り返します。
次に、腕の動き。フラは手話のように物語を語る舞。指先までしなやかに、美しく──これが非常に難しい。

そして、私なりの秘密メニューも加えました。それは、女性らしい所作を意識した動きの練習。
動作を柔らかく、肩の力を抜き、少し顎を引く。鏡の中の自分が、ほんの少しずつ変わっていくのが分かります。


レッスン前に既に汗だくになってしまいますが、疲れは感じませんでした。
むしろ、レッスンの時間までが待ち遠しくなるほど。
「あのステージに立つとき、きっと今日の努力が支えてくれる」
そう思えるだけで、練習の一つひとつが宝物になります。

うれしいことば

自主練を始めてから、鏡に映る自分の姿が、少しだけ変わったような気がします。
けれど、それはあくまで自己評価。本当に上達しているのかは、まだ分かりません。

そんな中、迎えた今日のサークルレッスン。
いつものようにウォーミングアップから始まりました。

いつも通り…のはずが、踊り始めて数分後、前の列にいたAさんが、ふと振り返って私を見ました。

レッスン後、片付けをしているとAさんが声をかけてくれました。
「ねぇ、なんだか今日、動きがきれいになってたよ」
そのひと言で、心が一気に温かくなりました。


どうやら、腕の使い方や手の動きが柔らかくなったように見えたそうです。
思わず自主練のことを少しだけ話したところ、Aさんは笑いながら、
「じゃあ、次のイベントはもっと映えるね!」
と。

たった一人の、短い言葉。でも、それは今までの練習の日々が、ちゃんと前に進んでいた証拠でした。

家に帰って、鏡の前で今日と同じ振りをしてみました。
以前よりも肩の力が抜けて、自然に微笑みながら踊れている自分がいました。
「このまま続けていけば、きっと夢に近づける」
自分を信じる気持ちが、また少しだけ大きくなった日でありました。

  

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