みなさま、こんにちは。いつもブログを訪問くださり、ありがとうございます。
もう5年ほど前に着物女装に憧れ、実行に移したときのお話をさせていただこうと思います。古い話で恐縮なのですが、最後まで読んでいただけましたら幸いです。
和装の女性に魅せられて
実を申しますと、子どものころから和装の女性がすごく美しく見えてしまい、いつも羨望の眼差しを送っておりました。
幼き頃から日本の女性向けの着物が芸術品のように美しく感じてました。これを着こなす、特にハレの舞台に訪問着を見事に着こなしている女性、これは日本文化として素直に誇れる気持ちがございます。
和装の女性の所作にもまた憧れておりました。手を上げた袖口から中が見えないよう反対の手でさりげなく抑えて隠すなど、着物姿で細かなところに気を配って手足を動かす女性が、たまらなくきれいに見えてしまいます。
きれいに身を装うことは、心まで穏やかに変わりゆくよう導いているかの如きです。
日舞鑑賞からの、”着物女装”願望
ところで、5年前当時のわたしは日舞鑑賞にも興味を持ち始め、動画配信などをよく眺めておりました。
そこにはほぼ必ず、着物姿の女性が現れます。美しい舞いとともに、舞台で装うすてきな着物姿にも惹かれてしまいました。
女装家として当然の如く、思いは高まります。
「自分でも着物を着てみたい」
こうなればもう、実行に移すよりありません。着物女装チャレンジをはじめたのです。
冷静に考えると課題は多し
都心などの便利のよい場所であれば着物女装をサポートしてくださるお店はいっぱいありますので、さほどの苦労ありません。時間とお金を確保してお店に向かえば、手ぶらで出掛けても簡単に実現できちゃうことでしょう。
しかしわたしは地方の片田舎に居住の身。そんな都合のよいお店などあるはずがございません。まして田舎は女装趣味に対する理解も薄いお土地柄。やすやすとは実現できなさそうな事実に気付きました。
こんな状況下で、単独でどうやって着物女装を実現しましょうか?冷静に課題を整理いたします。
- 着物女装に必要なもの一式を、どうやって準備するか?
- 近隣に着付けができて女装に理解ある方はいらっしゃるのか?いたところで、着付けしてくださるのか?
和装一式をどう準備するか?
和装をするには、着物だけでなくいろいろ必要なのですよね。
一切のものを持ち合わせていないわたしがこれらをどうやって準備するか、非常に悩んだものでした。
一式買っちゃうことは断念
一般的に着物は、基本的に呉服屋さんなどで自分の体型に合わせ、ひとつひとつ作ってもらうもの。時間もお金もかかります。
また、調べてみるとピンからキリまであるようでして、高価な方面を見上げると際限なし、といった雰囲気。わたしのような、滅多に着る機会もなさそうな一般女装家にとって、こちらはさすがに敷居の高そうな世界のようで...。(^^;
しかし、初心者向けの練習用として非常にリーゾナブルに売り出されている商品もあるようです。「洗える着物」ということで、素材は普通の生地なのでしょうが、これなら気軽にお試しできちゃいそうです。
しかも中には、帯や長襦袢や足袋など、必要なものが一式揃ったすぐれものも揃ってそうで、これは親切でgoodな商品です♪
これならわたしでも手の届きそうな範疇。非常に惹かれてしまい、サイズさえ合えばもう買っちゃおうかというところまで来ましたが...、これもあえなく断念。(._.)
理由は、隠れ女装の身分のため収納場所が困難。変な状態で隠し持っていると大切な着物に皺が寄るなどの不都合が予想されたため。
まったく、なかなか厳しい環境でございます。
便利で手ごろなレンタルを利用
さにあらば、という感じで思い付いたのが、着物をレンタルしてくださるお店を利用すること。
少し着目してみますと、ネット上にはレンタルの着物屋さんがいっぱい存在するのですね。多くが秘密厳守で対応してくださりそうですので、わたしにとってはこういうお店を利用するよりほかありません!
ほんの一部ではございますが、例として紹介させていただきますね。
・かしいしょう錦 さま
・京都ちりめんや さま
・キモノショップ さま
・夢館 さま
利用させていただいたお店
着物をレンタルくださる数あるショップの中、当時わたしが利用させていただいたのは、こちらのお店であります。
ほかの女装男性も利用されてるとの情報がありましたので、ここなら確実に安心!、という感じでございました。
・宅配レンタル衣装アイビス さま
数々の商品が準備されております。もちろん、着物以外のものすべて一式でレンタル可能。もう申し分はございません。(*^^)v
すてきなデザインの着物が満載。男性が着れそうな大きめサイズもばっちり取り揃えられ、いろいろ見行っちゃって選ぶのが楽しかったのを覚えております。
思えば確かに懇切丁寧で、気持ちよくお借りすることができましたよ。
着付けしてくれる場所さがしに奔走
さて、着物はレンタルで決まりとして、もう一つの問題を片付けないと...。地元で男性に女性の着物を着付けてくれるところが、果たしてあるのかどうか?
地元の着付け教室さがしで苦労の連続
比較的大手の呉服屋さんなら商売と割り切って対応してくれそうな気もしましたが、そのお店で着物など買うわけでもないし、一般のお客さまと一緒になると迷惑がかかりそうだと思い、断念。
なので近隣の小規模のお店を中心に調査開始です。
ターゲットは個人経営の着付け教室さん。ネットや電話帳をフル活用して、探しまくりましたよ。一覧をリスト化し、勘に頼りながらひとつひとつ電話で打診。
しかし、地方の着付け教室って割と年配の女性が一人で経営されているところがほとんどです。着物女装の話を出すと案の定、不審がられてしまうケースがほとんど。いい回答がなかなか得られず門前払いの連続で、苦労いたしました。
やっと見つけ出せて歓喜!
こんな感じで苦労しながらだいぶ探しましたが、やっと見つけ出せました!
近場の、とある着付け教室。着付けの師範の先生より、電話口で快くOKを出してくださいました。誰とも会わないようマンツーマンで対応していただけるとのことで、まさしく感謝の至り。m(_ _”m)
早速スケジュールを合わせて予約完了、これに合わせて着物のレンタル予約を済ませ、ようやく準備もばっちり!
準備はまだありました
準備完了と思いきや、もうひとつ準備すべき点がございました。
着付け教室の予約時に
「着付けの補正のためにタオルをお腹まわりにつける場合があるため5~6枚ほど持って来てください」
とのことでした。これは経験しないと気付かないところ。
しかし、自宅のタオルを大量に持って行っては家族にばれちゃいそうですので、仕方なく近所のホームセンターで買い揃えることにいたしました。
ようやく準備完了、そして着付け教室へ
ついに迎えた着付けの当日。この日はもちろん、このために仕事は予め理由をつけて休んじゃいました。(^^;
レンタルした和装一式もきちんと手配し、前日に到着。もちろん見つからないよう、自宅配送はせず配送センター留め置きですよ。
当然わくわくしながらカーナビに住所登録していた着付け教室に向かいます。
そして、いよいよ目的地に到着。目指していた『〇〇着付け教室』の看板が見えました。
一見、敷居高そうな、格調高い和風なお家。いかにも着付け教室のお宅という雰囲気です。でも、こういうお宅に伺うことが、憧れでもあったのです。
そこに出迎えてくれたのは、優しそうな初老の女性。この方が着付けの師範の先生なんですね。
上品で気品を感じる方でありました。さすが、和を極めた女性です。ここまで気品がありながら、女装の男性を受け入れてくださる気さくな女性は、とても美しく映ります。
優しく教えていただけました
中に通していただきました。
とても純日本風なお部屋の風景。こちらで着付けの稽古をされてそうです。掛け軸や扇子などが飾られ、壁には着付けのお弟子さんと思われる方々の名前まで並び書かれてます。夢にまで見た世界が目の前に広がります。
さて、お待ちかねの着付けの始まり。
肌着を着て、その上に長襦袢、持参したタオルで補正し、着物を羽織り、帯を巻いて...
体験してわかりましたが、う~ん、着物の着付けってやはりすごく大変!
実は自分で着せてもらいながら覚えてしまおうと企んでおりましたものの、あまりもの難しさで、途中から覚えることはギブアップ...。ここまで難しくては一回で着れるようになるなんて、もう不可能です。
なにをどう着たのだかまったく覚えられず、自分の身はもうすべて先生にお任せ状態。
着物の着付けが資格となりプロの仕事として成り立っていることがよく理解できます。机上の学習だけでなく、なんでも体験してみるべきですね。(^^;
鏡の中の自分に感動です
そうは言いながら、なんだかんだで自分の着付けがどんどん進んで行きます。
帯の太鼓をきれいに仕上げて、はい、どうやらできあがり。
先生に付き添われて立った鏡の前には、念願だった和装姿のわたしが立っておりました。それはそれは、とても感動的でありました!
これだけ苦労しながらも、こんなに着飾ってきれいになれるのですから、多くの女性が和装にくぎ付けになるのがよくわかります。
着替えたあとは楽しい会話の時間
当時はまだこの姿で外出する勇気もありませんでしたので、しばし撮影しただけで、すぐに元の姿に。着るのは大変でしたが、戻すときはそれほど時間もかからず案外かんたんなんですよね。
惜しみながらも着替えて、着物もきちんと返せるようにきれいに畳んで、残った時間は少し先生とお話させていただきました。
聞いたところ、やはりこんな女装趣味の男性相手に着付けすることは、先生にとってもはじめてのこと。でも興味はあったとのことで、身近にこんな人に出会えて楽しかった、との言葉をいただきました。
稽古に通うことを勧められましたものの、隠れ女装の身なので、残念ながらそれは丁重におことわり...。
それでも楽しい会話でうれしい気分に浸りながら帰路に就いたのでした。
いまのところ、このとき以来、本格的に着物女装をたのしむことは中断状態となっております。
現在、あの着付け教室は見当たらず
あれから5年、別件で久しぶりにあの着付け教室の近くを通りがかりました。
懐かしみながら眺めていたのですが...、おや?どうも教室の看板が見当たりません。家はそのままなのですけど、どうかしたのでしょうか。やや心配に思います。
優しく受け入れてくださった師範の先生はどうされていることやら。元気であればいいのですけどね。
...あの日の体験が急に懐かしくなって、いまこうやって思い出を綴っているのです。また訪問着を羽織りたくなってきちゃいそうです。
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